相続税はいくらかかる?|基礎控除と計算方法を詳しく解説

遺産を相続するからといって必ずしも相続税を納めなければいけないわけではありません。遺産の合計額が相続税の基礎控除額以下であれば相続税の申告や納税をおこなう必要はありません。こちらのページでは相続税の基礎控除額の計算方法についてご説明します。

目次

1.相続税はいくらからかかる?

2.相続税の基礎控除額はいくら?

 2-1.相続税の基礎控除額の計算式

 2-2.法定相続人の範囲

3.相続税の基礎控除額の注意点

 相続税の基礎控除額の注意点①相続放棄をした人がいる

 相続税の基礎控除額の注意点②代襲相続人がいる

 相続税の基礎控除額の注意点③相続欠格等の対象者がいる

 相続税の基礎控除額の注意点④遺言書で法定相続人以外が相続

4.相続税の基礎控除額を増やす方法

5.相続税の申告・納税をする必要があるか判断する方法

 ①全ての遺産を加算する

 ②生前贈与加算の対象となる贈与を加算する

 ③相続時精算課税制度による贈与を加算する

 ④遺産の合計額と相続税の基礎控除額を比較する

6.遺産の合計額と基礎控除額の計算例

7.相続税の計算方法と具体的な計算例

8.相続税の申告要否についてよくある質問

 ①小規模宅地等の特例で基礎控除額以下になる場合の申告要否

 ②配偶者の税額軽減で納税額がゼロになる場合の申告要否

 ③未成年者控除で納税額がゼロになる場合の申告要否

 ④障害者控除で納税額がゼロになる場合の申告要否

 ⑤相次相続控除で納税額がゼロになる場合の申告要否

9.相続税がかからないケースの具体例(FAQ)

10.相続税を減らす方法

11.相続税申告・相続税対策の相談

1.相続税はいくらからかかる?

故人の財産を相続する際に相続税が課税されますが、一定の金額までは相続税の申告手続きも納税もおこなわなくて良いというボーダーラインがあります。このボーダーラインとなる金額のことを「相続税の基礎控除額」と言います。

つまり相続税の基礎控除額を下回る場合には、相続税は発生しないことになります。遺産が基礎控除額を超えた場合にのみ課税されます。

平成27年の税制改正で相続税の基礎控除額が減額されるまで、相続税が課税される割合は4%ほどでしたが、税制改正によって8%ほどに増えました。相続税が課税されないと思っていたら、相続発生後に多額の相続税が課税されることがわかり困ってしまうという方は少なくありませんので、事前に相続税が課税されるか確認しておくことをお勧めします。

なお、おおよその相続税を知りたい方は、相続税の早見表で相続税の目安を確認することができます。
相続税の早見表については、「相続税の早見表|相続税はいくらかかる?簡単にわかる一覧」をご覧ください。

2.相続税の基礎控除額はいくら?

相続税の基礎控除額の計算式は次のとおりです。

相続税の基礎控除額の計算式

3,000万円+(600万円×法定相続人の数)=相続税の基礎控除額

法定相続人とは民法で定められた相続人のことです。例えば、法定相続人の数が3人の場合、3,000万円+(600万円×3人)で相続税の基礎控除額は4,800万円となります。遺産の合計額が4,800万円以下あれば相続税の申告と納税をする必要はありません。

遺産の合計額が相続税の基礎控除額を超えている場合、超えた分に対して相続税が課税されます。例えば、相続税の基礎控除額が4,800万円、遺産の合計額が1億円の場合、1億円-4,800万円で5,200万円に対して相続税が課税されることになります。

遺産の総額 相続税 申告の必要
基礎控除額以下 課税されない 不要
基礎控除額より多い 超えた分に課税される 必要

法定相続人の範囲

誰が法定相続人になるかについてご説明します。まず、配偶者はどのような場合であっても法定相続人になります。配偶者以外の親族には相続順位が定められており、順位が高い人から法定相続人になります。相続順位は下記の表のとおりです。

第1順位 子供
第2順位
第3順位 兄弟姉妹

例えば、配偶者・長男・長女・二男・父親・母親・兄・妹がいる場合、法定相続人は配偶者・長男・長女・二男の4人です。父親・母親・兄・妹は子供より相続順位が低いので法定相続人ではありません。誰が法定相続人になるのか詳しく知りたい方は「法定相続人の範囲と相続順位|誰が遺産をいくら相続するのか解説」をご覧ください。

3.相続税の基礎控除額の注意点

相続税の基礎控除額の注意点を4つご紹介します。

相続税の基礎控除額の注意点①相続放棄をした人がいる

相続放棄とは遺産の相続権を放棄することです。法定相続人の中に相続放棄をした人がいたとしても、相続放棄した人も法定相続人の数に含めて相続税の基礎控除額を計算します。

例えば、法定相続人が3人おり、そのうちの1人が相続放棄をしたとします。この場合、遺産を相続する人は2人ですが、法定相続人の数は3人です。したがって、相続税の基礎控除額は3,000万円+(600万円×3人)で4,800万円となります。

なお、第1順位である子供が全員相続放棄をすると第2順位である親が相続人となりますが、このような場合、法定相続人の数は相続放棄をする前の当初の法定相続人の数で数えます。仮に法定相続人が子供1人で、子供が相続放棄をした結果、父親と母親の2人が相続人になったとしても相続税の基礎控除額を計算する際の法定相続人の数は1人です。

相続放棄の方法やメリット・デメリットについて詳しく知りたい方は「相続放棄のメリットとデメリット|親の借金を相続しない方法」をご覧ください。

相続税の基礎控除額の注意点②代襲相続人がいる

故人の子供が既に亡くなっており、その子供に子供(被相続人から見ると孫)がいた場合、孫が子供の代わりに法定相続人になります。このように代わりに法定相続人になった人のことを「代襲相続人」と言います。子供が亡くなっている場合は孫、孫が亡くなっている場合はひ孫というように下へ下へと続いていきます。

また、親が既に亡くなっている場合は祖父母、祖父母が亡くなっている場合は曾祖父母というように上の世代についても代襲相続は適用されます。なお、兄弟姉妹にも代襲相続は適用されますが、兄弟姉妹の代襲相続のみ1代限りです。

故人の子供が既に亡くなっており、その子供に2人の子供(被相続人から見ると孫)がいた場合、孫2人が子供の代わりに法定相続人になりますが、この場合、相続税の基礎控除額を計算する際の法定相続人の数は2人となります。

相続税の基礎控除額の注意点③相続欠格等の対象者がいる

相続欠格とは法定相続人が遺言書の偽造などの不正をおこなった場合、法定相続人の権利を剥奪されることです。相続人廃除とは被相続人を虐待するなどの非行をおこなった場合、被相続人が法定相続人の権利を剥奪することです。

相続欠格や相続人廃除の対象者は相続税の基礎控除額を計算する際の法定相続人の数に含まれません。なお、相続欠格や相続人廃除の対象者に子供がいる場合、その子供は代襲相続することが可能です。相続欠格や相続人廃除の対象者の子供が代襲相続人になった場合は、相続税の基礎控除額を計算する際の法定相続人の数に数えます。

相続税の基礎控除額の注意点④遺言書で法定相続人以外が相続

遺言書で法定相続人以外の人に遺産を相続させることができます。遺言書で遺産を譲り受ける人のことを「受遺者」と言います。受遺者は相続税の基礎控除額を計算する際の法定相続人の数に含まれませんので注意してください。

遺言書の書き方や文例について詳しく知りたい方は「遺言書の書き方と文例|効力が無い遺言書を作成しないための注意点」をご覧ください。

4.相続税の基礎控除額を増やす方法

相続税の基礎控除額を増やすには法定相続人の数を増やす必要があります。法定相続人の数が1人増えると基礎控除額が600万円増額します。法定相続人の数を増やすには養子縁組が有効です。養子縁組とは親子関係にない人と法律上の親子関係を生じさせることができる制度です。養子縁組をおこなうと子供の数が増えるので法定相続人の数が増えます。

ただし、相続税の基礎控除額を計算する際の法定相続人の数に含めることができる養子の数には制限があります。相続税の基礎控除額を計算する際の法定相続人の数は実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までとなります。

実子の有無 法定相続人の数に含められる養子の数
実子がいる場合 1人まで
実子がいない場合 2人まで

例えば、子供が5人おり、そのうち2人が実子で3人が養子とします。この場合、実子がいるので法定相続人の数に含められるのは1人までです。したがって実子2人+養子1人で相続税の基礎控除額を計算する際の法定相続人の数は3人となります。

実子がおらず養子が3人いる場合は法定相続人の数に含められるのは2人までです。したがって、相続税の基礎控除額を計算する際の法定相続人の数は2人となります。

5.相続税の申告・納税をする必要があるか判断する方法

遺産の合計額が相続税の基礎控除額以下であれば相続税の申告・納税をおこなう必要はありません。遺産の合計額を確認する方法は次のとおりです。

①全ての遺産を加算する

まず、現金預貯金・株式・不動産など、故人の遺産を全て足し合わせます。なお、生命保険金や退職手当金などは民法上の相続財産ではありませんが、被相続人が亡くなったことで相続人に支払われるお金ですので相続財産に含めて計算します。

<相続財産の例>
・現金預貯金
・株式
・不動産
・生命保険金
・退職手当金

生命保険金や退職手当金のように民法上の相続財産ではありませんが、相続税を計算する際に相続財産に含める財産をみなし相続財産と言います。みなし相続財産については「みなし相続財産とは|生命保険金等と死亡退職金等の非課税枠の計算例」をご覧ください。

なお、生命保険金や退職手当金などには非課税枠があり、【500万円×法定相続人の数】が非課税となります。例えば、生命保険金が4,000万円、法定相続人の数が3人の場合、4,000万円-(500万円×3人)で2,500万円に対して相続税が課税されます。

また、墓地・仏具等は非課税財産です。墓地・仏具等の金額を相続財産に加算する必要はありません。相続税の非課税財産について詳しく知りたい方は「相続税の非課税財産一覧|相続税が課税されない8つの財産」をご覧ください。

②生前贈与加算の対象となる贈与を加算する

死亡前7年以内に故人から贈与を受けていた場合は相続財産に贈与額を加算します。死亡前7年以内の贈与を加算する規定を生前贈与加算と言います。ただし、生前贈与加算の対象者は相続や遺贈により財産を取得した人です。死亡前7年以内に故人からお金をもらっていても相続や遺贈によって財産を受け取っていなければ生前贈与加算は適用されません。

生前贈与加算について詳しく知りたい方は「生前贈与加算とは?|7年以内の贈与でも対象外にする方法を解説」をご覧ください。

③相続時精算課税制度による贈与を加算する

相続時精算課税制度とは親・祖父母から子供・孫へ贈与をする際に2,500万円まで無税で贈与できる制度です。ただし、相続発生時に相続時精算課税制度で贈与した財産を相続財産に加える必要があります。したがって、税金の支払い時期を贈与時ではなく相続時に先送りしているだけの制度でしたが、令和6年1月1日以後の贈与からは特別控除2,500万円とは別に年間110万円の基礎控除額が設けられたことで、節税としても使える制度となりました。

相続時精算課税制度を利用していた場合、相続時精算課税制度で贈与した分を遺産の合計額に加算する必要があります。相続時精算課税制度について詳しく知りたい方は「相続時精算課税制度と暦年課税の違い|メリット・デメリットを解説」をご覧ください。

④遺産の合計額と相続税の基礎控除額を比較する

遺産を足し合わせ、生前贈与加算と相続時精算課税制度の対象となる贈与を加算して算出した遺産の合計額と相続税の基礎控除額を比較し、基礎控除額の方が大きければ相続税の申告手続きや納税をおこなう必要はありません。

なお、相続税の計算方法について詳しく知りたい方は「相続税の計算方法|いくらかかるかシミュレーションで徹底解説」をご覧ください。また、下記は相続税の計算方法について解説している動画です。こちらの動画もご参考にしていただきますと幸いです。

6.遺産の合計額と基礎控除額の計算例

法定相続人が妻・長男・長女・二男の4人で、故人の財産状況が下記の場合の遺産の合計額を計算してみましょう。

故人の財産 評価額
現金預貯金 1,000万円
株式 500万円
不動産 4,000万円
生命保険金 3,000万円
退職手当金 300万円
墓地 400万円
借金 1,500万円

まず、現金預貯金・株式・不動産を足し合わせます。現金預貯金1,000万円+株式500万円+不動産4,000万円で合計5,500万円となります。

生命保険金と退職手当金には非課税枠があります。両方とも【500万円×法定相続人の数】が非課税となりますので、500万円×4人で2,000万円が非課税です。生命保険金は3,000万円ですので、3,000万円-2,000万円で1,000万円となります。退職手当金は500万円ですので、非課税枠以下なので退職手当金に対して相続税は課税されません。

したがって、現金預貯金・株式・不動産の合計額5,500万円に生命保険金を足し合わせた金額は、5,500万円+(生命保険金3,000万円-生命保険金の非課税枠2,000万円)で6,500万円となります。退職手当金は非課税枠以下ですので加算しません。

墓地400万円は非課税財産ですので、足し合わせる必要はありません。借金は遺産から差し引けますので6,500万円-借金1,500万円で5,000万円となります。

また、被相続人が下記の贈与をおこなっていたとします。

・亡くなる1年前に長男に1,000万円を贈与。
・相続時精算課税制度を利用して二男に2,000万円を贈与。(令和5年以前に実行)

死亡前7年以内に相続人に対しておこなわれた贈与は生前贈与加算の対象ですので、長男への贈与1,000万円を加算します。また、相続時精算課税制度を利用しておこなわれた贈与も加算する必要がありますので、二男への贈与2,000万円も加算します。したがって、遺産の合計額は5,000万円+1,000万円+2,000万円で8,000万円となります。

相続税の基礎控除額は3,000万円+600万円×4人で5,400万円ですので、遺産の合計額が相続税の基礎控除額を超えています。したがって、相続税の申告と納税をおこなう必要があります。なお、遺産の合計額から相続税の基礎控除額を差し引いた金額は8,000万円-5,400万円ですので、2,600万円に対して相続税が課税されます。

7.相続税の計算方法と具体的な計算例

上記6.「遺産の合計額と基礎控除額の計算例」を基に相続税の計算方法を解説します。
まず遺産の合計額については、生命保険金等の非課税枠、債務控除、7年以内の生前贈与加算、相続時精算課税制度を考慮して8,000万円になっています。
こちらが相続税の課税価格になります。

基礎控除額ですが、法定相続人が4人のため、3,000万円+600万円×4人で5,400万円になり、基礎控除額を差し引いた金額は2,600万円になります。
ここまでが上記6.遺産の合計額と基礎控除額の計算例で解説した通りとなります。

以下、相続税の計算方法ですが、基礎控除額を差し引いた後の2,600万円を相続人が法定相続分のとおりに相続したと仮定してそれぞれの取得額を計算します。法定相続分とは民法で定められた遺産の分け方の目安です。
つまり実際の分け方(実際の取得額)に関係なく、法定相続分の通りに相続税の総額を計算します。

具体的には妻が1/2となり、子である長男、長女、二男は1/2を3人で分けるため、1/6ずつになります。
まずは取得金額を計算してから、相続税の税率を乗じて計算(相続税の速算表の通り)します。

【各相続人の取得金額】

・法定相続分で分けた妻の取得額 2,600万円×1/2=1,300万円
・法定相続分で分けた子1人当たりの取得額 2,600万円×1/6=4,333,000円(千円未満切捨)

【相続税の総額の計算】

・妻の相続税の基となる税額 1,300万円×15%-50万円=145万円
・子1人当たりの相続税の基となる税額 4,333,000円×10%=433,300円
・相続税の総額 145万円×433,300円×3人=2,749,900円
※相続税の速算表は下記になります。

法定相続分の取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
1,000万円超3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超1億円以下 30% 700万円
1億円超2億円以下 40% 1,700万円
2億円超3億円以下 45% 2,700万円
3億円超6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

こちらの事例では相続税の総額は2,749,900円になります。

あとは各相続人が実際に相続した財産の割合に応じて按分します。

例えば、長女の取り分が預貯金が500万円と不動産1,000万円の合計1,500万円だった場合は、下記の計算の通り、515,600円になります。
2,749,900円(相続税の総額)×1,500万円(長女の相続分)/8,000万円(課税価格)=515,600円(百円未満切捨)

なお、妻については配偶者軽減があるため、法定相続分以下又は1億6,000万円以下の場合は相続税がかかりません。こちらの事例では、遺産総額が1億6,000万円を下回るため、仮に妻が100%相続した場合には、相続税は発生しないことになります。

8.相続税の申告要否についてよくある質問

特例を適用して基礎控除額以下になった場合や税額控除を適用して納税額がゼロになった場合に相続税申告が必要かどうかよくご質問いただきます。特にご質問いただく内容を5つご紹介します。

①小規模宅地等の特例で基礎控除額以下になる場合の申告要否

小規模宅地等の特例とは一定の要件を満たすと土地の相続税評価額を最大で80%減額できる規定です。小規模宅地等の特例を適用した結果、遺産の合計額が相続税の基礎控除額以下になる場合であっても相続税の申告手続きをおこなう必要がありますのでご注意ください。小規模宅地等の特例について詳しく知りたい方は「小規模宅地等の特例の要件【2019年改正】|土地の相続税評価を減額」をご覧ください。

②配偶者の税額軽減で納税額がゼロになる場合の申告要否

故人の配偶者は受け取った遺産が1億6千万円以下もしくは法定相続分以下であれば相続税が課税されません。この規定を「配偶者の税額軽減」と言います。配偶者の税額軽減を適用した結果、納税額がゼロになる場合であっても相続税の申告手続きをおこなう必要がありますのでご注意ください。配偶者の税額軽減については「相続税の配偶者控除の計算例|1億6千万円まで無税で相続できる」をご覧ください。

③未成年者控除で納税額がゼロになる場合の申告要否

未成年者控除とは相続人が未成年の場合、20歳に達するまでの年数1年につき10万円が控除される規定です。未成年者控除を適用した結果、納税額がゼロになる場合は相続税の申告手続きをおこなう必要がありません。

④障害者控除で納税額がゼロになる場合の申告要否

障害者控除とは相続人が85歳未満の障害者である場合、税額控除が受けられる規定です。障害者控除を適用した結果、納税額がゼロになる場合は相続税の申告手続きをおこなう必要がありません。

⑤相次相続控除で納税額がゼロになる場合の申告要否

相次相続控除とは相続が発生してから10年以内に相続が発生した場合、税額控除が受けられる規定です。相次相続控除を適用した結果、納税額がゼロになる場合は相続税の申告手続きをおこなう必要がありません。

9.相続税がかからないケースの具体例(FAQ)

相続税がかからないケースは上記8.相続税の申告要否についてよくある質問の通りいくつかありますが、わかりやすい事例をQA方式でご紹介します。

【Q1】夫が亡くなり相続財産は10億円ですが、相続人は妻だけです。相続税はいくらかかりますか?

【A1】配偶者は受け取った遺産が1億6千万円以下もしくは法定相続分以下であれば相続税が課税されません。ご質問のケースでは法定相続人が1人のため、法定相続分は100%になります。そのため、配偶者軽減を適用して相続税はゼロになります。
ただし、配偶者軽減には申告要件がありますので、相続税の申告手続きは必要です。

【Q2】父が亡くなり相続財産は約100坪の自宅1億円のみです。相続人は同居していた長男のみですが、相続税はかかりますか?

【Q2】法定相続人が1人のため、基礎控除額は3,000万円+600万円×1人=3,600万円になりますが、ご自宅には小規模宅地等の特例が適用できます。被相続人である父と同居していたとのことですので、申告期限まで引き続き自宅に住み続け、所有する場合には330㎡まで80%の減額ができます。
そのため、1億円×80%=8,000万円を自宅の評価額1億円から減額することで、基礎控除額3,600万円を下回り、相続税はゼロになります。
ただし、小規模宅地等の特例には申告要件がありますので、相続税の申告手続きは必要です。

【Q3】父が亡くなり相続財産は預貯金5,000万円のみで、相続人は長男と障害者である50歳の二男の2人で均等に財産を分けます。相続税はかかりますか?

【Q3】法定相続人が2人のため、基礎控除額は3,000万円+600万円×2人=4,200万円になりますので、相続税の課税価格5,000万円が基礎控除額を上回ることになります。
そのため、上回る800万円に対して相続税の総額を計算すると下記となります。
・法定相続分で分けた取得金額 800万円×1/2=400万円
・相続税の総額の計算 (400万円×10%)×2人=80万円
相続税の総額は80万円になり、財産は均等に分けるとのことですので、均等に按分すると1人当たりの相続税は40万円になる計算です。
ただし、障害者には障害者控除があり、50歳の場合には(85歳-50歳)×10万円=350万円となります。

そのため、障害者である二男は40万円から障害者控除を差し引くことで、相続税はゼロになります。
次に長男ですが、兄弟は扶養義務者に該当(実際に扶養しているかは問いません)するため、二男から控除しきれなかった金額(350万円-40万円=310万円)を差し引くことができますので、長男も相続税はゼロになります。

また、障害者控除には申告要件はありませんので、相続税の申告手続きも不要です。

10.相続税を減らす方法

相続税を減らすには相続税の課税価格を減らすか基礎控除額を増やすなどの方法により、対策をする必要があります。

方法は様々ですが、生前贈与、生命保険の活用、不動産の活用、各種特例の活用、養子縁組の活用、自社株式の株価対策など多岐にわたります。

ここでは、佐藤和基税理士事務所がよくご提案させていただく方法をご紹介します。

生前贈与の活用

生前贈与は気軽にできることから、多くの方にお勧めしています。
ただし、生前贈与はシンプルなようで奥が深い論点で、間違ったやり方をしてしまうと税務署から否認を受けてしまいます。
生前贈与の方法や否認されないためのポイントを詳しく知りたい方は、「生前贈与加算とは?|7年以内の贈与でも対象外にする方法を解説」をご覧ください。

生命保険の活用

生命保険金等には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。
こちらもシンプルな制度で、年齢も90歳程度までは告知なしで入れる保険があることから多くの方にお勧めしています。
また、生命保険は節税対策だけでなく、納税資金に不安がある方の納税資金対策や遺留分対策等の遺産分割対策にも活用できるため、相続対策としては王道の手段になります。
生命保険の活用について詳しく知りたい方は、「生命保険金にかかる相続税|非課税枠で相続税を節税できる」をご覧ください。

不動産の活用

一般的には預貯金等の財産よりも不動産の方が評価額は低くなります。
例えば土地の相続税評価額は、時価の80%程度になりますし、建物の評価額も時価の60%程度になるため、節税目的で不動産を活用するケースは多くあります。
特に不動産小口化商品は1口100万円から1,000万円単位の少額で対策ができ、相続税評価額の圧縮率も平均で80%程度あるため、非常に大きな節税効果があります。
例えば、不動産小口化商品を1,000万円で購入した場合、相続税評価額は200万円程度になります。
ただし、不動産小口化商品や貸付用不動産は税制改正により令和9年1月1日以降は評価額が変更されるため、節税効果は低くなります。(令和8年12月31日までは購入と年内贈与をセットにすることで、駆け込みの節税が可能です。)

不動産小口化商品について詳しく知りたい方は「不動産小口化商品とは?相続税対策に有効な理由を徹底解説」をご覧ください。

11.相続税申告・相続税対策の相談

亡くなった後に財産の確認をすると思っていたよりも評価額が高く、多額の相続税が課税され困ってしまうという方が少なくありません。相続税対策は早ければ早いほど様々な方法が使えますので、できるだけ早いタイミングで始めることをお勧めします。

財産の確認や相続税対策をされたい方は佐藤和基税理士事務所にご相談ください。佐藤和基税理士事務所は相続税専門の税理士事務所で、相続に関する知識や実績が豊富です。相続税のシミュレーションをおこない、最適な方法についてアドバイスします。佐藤和基税理士事務所の相続税対策サービスの詳細については下記ページをご覧ください。

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相続税申告マニュアルとは、相続税申告の流れや必要書類について解説したマニュアルです。税理士選びのポイントや佐藤和基税理士事務所が選ばれる理由についても紹介していますので、ご参考にしていただきますと幸いです。

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