限定承認のメリットとデメリット|手続きの流れと期限を解説

故人に借金があり、相続財産が明らかにマイナスである場合は相続放棄をすれば良いのですが、相続財産がプラスかマイナスかすぐに判別できないことがあります。そのような場合は限定承認をするケースがあります。限定承認をするとプラスの財産を限度として、マイナスの財産を相続することになりますので、借金を全て弁済する必要がなくなります。

ただし、2016年度の限定承認の件数は753件しかありません。相続放棄の件数は197,656件ですので限定承認を利用されている方はごくわずかです。限定承認を検討されている方は限定承認を選ぶ人が少ない理由について十分に理解しておくことをお勧めします。

こちらのページでは限定承認のメリットとデメリットについてご説明します。限定承認の手続きの流れや期限についても解説しておりますのでご参考にしてください。

1.限定承認とは

限定承認とは相続で得た財産を限度として故人の借金を弁済する相続方法です。仮に故人の財産が1,000万円、借金が1,500万円で、相続する際に限定承認を選択した場合、弁済しなければいけない借金の金額は1,000万円となります。1,500万円から1,000万円を差し引いた残りの500万円の借金について、債権者は相続人に弁済を求めることができません。

なお、故人の財産が1,000万円、借金が300万円で、相続する際に限定承認を選択した場合、300万円の借金を弁済し、残った700万円の財産を相続することができます。相続方法には、限定承認の他に「単純承認」と「相続放棄」という2つの方法があります。

単純承認とは

単純承認とは故人の財産も借金も全て引き継ぐ相続方法です。相続開始を知った日から3ヵ月以内に限定承認の手続きや相続放棄の手続きをおこなわなければ単純承認を選択したことになります。単純承認について詳しく知りたい方は「単純承認とは|相続放棄・限定承認との違いを解説【税理士監修】」をご覧ください。

相続放棄とは

相続放棄とは故人の財産も借金も全て相続しない相続方法です。借金を弁済しなくて良い代わりに財産を相続することができなくなります。相続放棄について詳しく知りたい方は「相続放棄のメリット・デメリットとやり方|親の借金・負債を否認」をご覧ください。

2.限定承認のメリット

限定承認のメリットを5つご紹介します。

限定承認のメリット①借金を自腹で弁済する必要がなくなる

単純承認をすると故人の財産と借金の全てを相続することになりますので、借金の方が多い場合は相続人が自腹で借金を弁済する必要があります。しかし、限定承認を選択すると相続した財産以上の借金を弁済する必要がなくなります。

限定承認のメリット②不動産を手元に残すことができる

不動産を限定承認で相続した場合、不動産相当額の借金を弁済すれば不動産を手元に残すことが可能です。相続放棄をすると全ての相続財産を手放さなければいけなくなりますが、限定承認であれば弁済する必要のある借金を抑え、不動産を相続することができます。ただし、不動産相当額の借金を弁済できなければ不動産を売却しなければいけません。

限定承認のメリット③先買権を行使できる

先買権とは相続した不動産が競売にかけられた場合に、その不動産を優先的に購入することができる権利のことです。相続放棄をした場合は先買権がありませんが、限定承認であれば相続した不動産が競売にかけられた時に優先的に購入することができます。

限定承認のメリット④後から発見された財産も相続できる

相続放棄を選択した場合、後から多額の財産が見つかったとしても相続することができません。限定承認であれば後から発見されたプラスの財産も相続することが可能です。

限定承認のメリット⑤少人数で相続手続きを終わらせられる

相続順位が同じ人が全員相続放棄をすると次順位の人が新たに相続人になります。そのため、借金が多額で相続放棄をする場合、次順位の人にも借金があることを連絡して相続放棄をしてもらう必要があります。しかし、限定承認であれば次順位の人が相続人になることはありませんので、少人数で相続手続きを終わらせることができます。相続順位については「法定相続人の範囲と相続順位|誰が遺産をいくら相続するのか解説」をご覧ください。

3.限定承認のデメリット

限定承認のデメリットを3つご紹介します。

限定承認のデメリット①相続人全員でおこなう必要がある

相続放棄は1人でもおこなえますが、限定承認は相続人全員でおこなう必要があります。相続人のうち1人でも反対する人がいた場合は限定承認をおこなうことができません。

限定承認のデメリット②譲渡所得税を支払う必要がある

限定承認の場合、被相続人から相続人に財産が時価で譲渡されたとみなされ、譲渡所得税を支払う必要があります。また、相続の開始を知った日の翌日から4ヵ月以内に準確定申告をおこなう必要があり、単純承認よりも手続きが面倒です。なお、譲渡所得税は被相続人の債務ですので、他の債務と同様に限定承認の効果が及びます。

限定承認のデメリット③債務清算手続きが大変

限定承認の場合、裁判所の手続きで債務を清算する必要があります。そのため、裁判所に申請書を提出するなど、手続きに手間がかかります。

4.限定承認の期限

限定承認の期限は相続の開始を知った日から3ヶ月以内です。期限までに家庭裁判所に限定承認の申し立てをおこなう必要があります。3ヵ月以内に限定承認の手続きも、相続放棄の手続きもおこなわなかった場合は単純承認を選択したことになります。

なお、3ヵ月以内にどの相続方法を選べば良いか決められない場合は、家庭裁判所に「相続の承認又は放棄の期間の伸長」を申し立てると期間を延長してもらうことが可能です。

5.限定承認の手続きの流れ

限定承認の手続きの流れは以下のとおりです。

限定承認の手続きの流れ①家庭裁判所に申し立てる

相続開始を知った日から3ヵ月以内に、相続人全員で故人の最終住所地を管轄する家庭裁判所に限定承認の申し立てをおこないます。なお、相続人の中に反対する人が1人でもいた場合、限定承認の手続きをおこなうことはできません。

限定承認の手続きの流れ②除斥広告をおこなう

除斥広告とは債権者と受遺者に対して「権利がある場合は申し出てください」と官報を通じて知らせることです。官報とは政府が出している機関紙のことです。なお、申出の期間は2ヶ月以上に設定しなければなりません。

限定承認の手続きの流れ③権利者に弁済する

申出期間が過ぎたら、まずは先取得権や抵当権など優先権を持っている権利者に優先的に弁済します。次いで、その他の申し出た債権者に弁済することになります。相続財産で全債務を完済できない場合は債務額の割合に応じて弁済します。

限定承認の手続きの流れ④受遺者に弁済する

債権者に弁済して余剰がある場合は受遺者に弁済します。受遺者に弁済してもなお余剰がある場合は申し出のなかった債権者や受遺者にも弁済することになります。なお、受遺者とは遺言書によって遺産を受け取る人のことです。遺言書について詳しく知りたい方は「遺言書の書き方と文例|効力が無い遺言書を作成しないための注意点」をご覧ください。

限定承認の手続きの流れ⑤相続人が受け取る

全ての債務を弁済し終えても相続財産が残っている場合は、限定承認をした相続人が残った財産を受け取ります。

限定承認の手続きの流れは以上です。相続の際に必要な手続きについて詳しく知りたい方は「【相続手続きの流れ】遺産相続の手順とやり方をわかりやすく解説」をご覧ください。

6.相続手続きに関する相談

限定承認を選択すると相続財産の分だけ負債を弁済すれば良いというメリットもありますが、手続きが面倒であったり、譲渡所得税が課税されたりするなどデメリットもあります。相続の際には単純承認・限定承認・相続放棄のメリットとデメリットを十分に理解したうえで、どの相続方法を選ぶか検討することをお勧めします。

なお、佐藤和基税理士事務所の相続手続き代行サービスを利用すると、相続が発生した際に必要な手続きを任せることができます。「相続が発生した時に何をすれば良いかわからない」、「必要な手続きを専門家に任せたい」とお考えの方はお気軽にご相談ください。佐藤和基税理士事務所の相続手続き代行サービスの詳細については下記をご覧ください。

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