広大地評価が相続税の税制改正で廃止|地積規模の大きな宅地の評価

広大地評価とは500㎡以上の広大な土地を相続した場合に土地評価額を最大65%下げられる可能性がある制度です。しかし、平成29年度の税制改正により広大地評価の規定が廃止され、代わりに「地積規模の大きな宅地の評価」が新設されました。

こちらのページでは広大地評価の改正内容と地積規模の大きな宅地の評価について解説します。なお、亡くなってから5年10ヵ月以内であれば、既に申告済みの相続税申告書の内容を見直し、払い過ぎていた場合は相続税が還付されます。

平成29年12月31日までに発生した相続については、広大地評価を適用することで相続税が安くなり、払い過ぎていた相続税分を返金してもらえる可能性があるので確認してみてください。なお、相続税還付のチェック項目については「相続税還付の22のチェック項目|税理士が見落としやすい箇所を解説」をご覧ください。

1.相続税の広大地評価とは

あまりにも広い土地は一般的な宅地として売ることが難しく、大規模な宅地開発をおこなう不動産デベロッパーなどに売却することになります。デベロッパーは土地を一般的な宅地として適当な広さに区切り、住宅や道路などの開発をおこないます。

都市計画法に基づいて土地を戸建住宅分譲地として開発する場合、土地の中に道路や公園が必要になるのですが、道路や公園のように公共施設のための土地をつぶれ地と言います。

つぶれ地があると宅地として利用できる土地面積が減ってしまうため、広大地は土地の評価額を下げることができるのです。このように広大地の評価額を下げることができる制度を「広大地評価」と言います。

2.相続税の広大地評価の判定フローチャート

広大地評価の判定は以下の流れでおこないます。

広大地評価の判定フローチャート①大規模工場用地やマンション適地ではない

広大地評価は戸建住宅分譲地として適切な土地に使える制度です。大規模工場用地やマンション適地には広大地評価を適用することができません。

広大地評価の判定フローチャート②地域の標準的な宅地と比べて広大

土地がその地域の標準的な宅地の面積と比べて著しく広大でなければ広大地評価を適用することができません。三大都市圏であれば500㎡以上、それ以外の地域であれば1,000㎡以上が目安となります。

広大地評価の判定フローチャート③開発する場合つぶれ地が発生する

戸建住宅分譲地として開発する場合、道路や公園などのつぶれ地が発生しないのであれば広大地評価を適用することができません。なお、つぶれ地がごみ集積所など小さな施設だけの場合も広大地として認められません。

上記の3つを満たせば広大地評価が認められる可能性があります。ただし、あくまで目安ですので、広大地評価が適用されるかどうかについては専門家に確認してもらうことをお勧めします。

佐藤和基税理士事務所では相続税還付の無料診断をおこなっております。広大地評価が適用されるか無料で診断しますので、お気軽にお問合せください。

3.相続税の広大地評価の計算方法

広大地評価が適用された土地の評価額は以下の算式で計算します。

相続税の広大地評価の計算式

路線価×広大地補正率×土地面積=広大地の評価額

広大地補正率は0.6-0.05×(土地面積÷1,000㎡)で算出します。なお、路線価とはその道路に面する土地1㎡あたりの評価額です。路線価について詳しく知りたい方は「土地の相続税評価|路線価と倍率地域の計算方法」をご覧ください。

広大地評価の計算例

路線価が10万円で面積が2,000㎡の土地に広大地評価が適用された場合の土地の評価額を計算してみましょう。まず、広大地補正率は0.6-0.05×(2,000㎡÷1,000㎡)で算出できますので、0.5となります。広大地の評価額は路線価×広大地補正率×土地面積で算出されますので、10万円×0.5×2,000㎡で1億円となります。

広大地評価が適用されなければ土地の評価額は10万円×2,000㎡で2億円でしたので、広大地評価によって土地の評価額が1億円下がったことになります。

4.広大地評価が相続税の税制改正で廃止された理由

広大地評価について以下の2つの問題点がありました。

広大地評価の問題点①土地の形状が考慮されない

広大地補正率は土地の形状が考慮されませんので、不整形地であっても整形地であっても土地面積が同じであれば評価額が同じになってしまいます。

広大地評価の問題点②広大地の適用要件があいまい

広大地の適用要件があいまいなので、不動産に精通している税理士ではないかぎり広大地評価の正しい判断ができませんでした。そのため、せっかく広大地評価を適用できる土地であっても広大地評価が適用されていなかったり、広大地評価の要件を満たしていない土地に広大評価を適用してしまうというケースが多々ありました。

そこで、平成29年度の税制改正によって広大地評価が廃止され、代わりに「地積規模の大きな宅地の評価」という規定が新設されることになりました。なお、地積規模の大きな宅地の評価は平成30年1月1日以後の相続から適用されます。

5.地積規模の大きな宅地の評価とは

地積規模の大きな宅地の評価も広大地評価と同様、面積が著しく広い土地の評価額を減額できる制度です。地積規模の大きな宅地の評価の要件は以下のとおりです。

地積規模の大きな宅地の評価の要件①一定の面積以上であること

三大都市圏の土地であれば500㎡以上、それ以外の地域の土地であれば1,000㎡以上である必要があります。三大都市圏とは首都圏・近畿圏・中部圏を指し、対象となる市町村は法律で定められています。

地積規模の大きな宅地の評価の要件②普通住宅地区や普通商業・併用住宅地区

土地の地区区分が普通住宅地区、もしくは普通商業・併用住宅地区である必要があります。なお、地区区分については路線価図で確認することができます。

地積規模の大きな宅地の評価の要件③除外地域でないこと

要件の①と②を満たしていても「市街化調整区域」、「工業専用地域」、「容積率が400%(東京23区は300%)以上の地域」は地積規模の大きな宅地の評価を適用することができません。

6.地積規模の大きな宅地の評価の計算方法

地積規模の大きな宅地の評価が適用された土地の評価額は以下の算式で計算します。

地積規模の大きな宅地の評価の計算式

路線価×各種補正率×規模格差補正率×土地面積=地積規模の大きな宅地の評価額

各種補正率とはいびつな形の土地評価を減額するための補正率で、規模格差補正率とは土地の大きさを考慮して減額するための補正率です。地積規模の大きな宅地の評価が新設されることで、土地の形状や大きさを考慮した評価ができるようになりました。

また、地積規模の大きな宅地の評価の適用要件は明確ですので、広大な土地の評価について判断に迷ったり、訴訟等で争うことは少なくなると思われます。

7.相続税還付の相談

土地の相続税評価は複雑で難しく、税理士が10人いれば10通りの評価額が出ることも少なくありません。申告した相続税額が適切であったか確認したい方は佐藤和基税理士事務所にご相談ください。

佐藤和基税理士事務所は相続税専門の税理士事務所で、相続税還付の実績が豊富です。相続税還付の診断は無料で承っておりますので、お気軽にご相談ください。なお、相続税還付の期限は亡くなってから5年10ヵ月ですので、相続税還付を検討される場合はお早めにご相談いただければと思います。

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