相続税の税務調査の時期・期間・対象|対応方法についても解説

相続税申告が終わった後、税務署から税務調査を受ける場合があります。税務調査とは相続税の申告漏れや誤りがないか調査を受けることです。こちらのページでは税務調査の時期と対応方法についてご説明します。税務調査が入った場合、追徴課税が発生しないようにするために気を付けなければいけないことがいくつかありますので、税務調査に立ち会う方は注意点について事前に把握しておくことをお勧めします。

なお、本ページ最下部にあるフォームから【税務調査対策マニュアル】を無料でダウンロードすることができます。税務調査対策マニュアルでは調査官からどのような質問を受け、どのように回答すれば良いかについて解説しておりますので、ご参考にしてください。

1.相続税の税務調査の対象

相続税の税務調査とは税務署が相続税の申告内容が正しいか調査することです。全ての相続人に税務調査が実施されるわけではなく、申告件数全体の20%~25%に対して税務調査が実施されます。なお、税務署は調査先をランダムに選定しているわけではありません。申告書の内容を確認し、漏れや誤りがある可能性が高い人を選んで税務調査をおこないます。

そのため、税務調査が入って追徴課税が発生する確率は80%以上です。税務調査が入るとほとんどの場合、相続税の金額が増えてしまい、相続税を追加で納めなければいけなくなってしまいます。なお、税務調査の目的は追徴課税がないか確認することですので、相続税の金額が下がる余地があっても減税に繋がるようなことは指摘してもらえません。

2.相続税の税務調査の時期・期間

相続税の税務調査の時期は、相続税申告をした翌年もしくは翌々年の夏から秋に実施される可能性が高いです。例えば、2019年1月1日に相続が発生した場合、相続税の申告期限は2019年11月1日となります。この場合、税務調査がおこなわれる可能性が高いのは2020年の夏から秋もしくは2021年の夏から秋です。

相続税の税務調査が入る可能性が高い期間

・相続税申告をした翌年の夏から秋
・相続税申告をした翌々年の夏から秋

なぜ夏から秋にかけて税務調査がおこなわれる可能性が高いかというと、税務署では毎年7月に異動があります。そのため、異動直後の夏から秋にかけて税務調査をおこなうことが多いのです。相続税申告をした翌々年の秋を越えると税務調査が入る可能性は低くなります。

なお、相続税の排斥期間は5年です。相続税申告の期限から5年を経過していれば税務調査を受ける心配はありません。相続税の申告期限や排斥期間について詳しく知りたい方は「相続税の申告期限と時効|無申告加算税・延滞税・重加算税とは」をご覧ください。

3.相続税の税務調査の流れ

相続税の税務調査の対象になった場合は税務署から税理士に対して連絡があります。そして、相続人が都合の良い日程を確認し、実地調査の日程を決めます。なお、実地調査は故人の自宅や相続人の自宅でおこなわれることが一般的です。

実地調査は通常であれば1日で終わりますが、1日で終わらない場合は別日に再度調査が実施されます。実地調査は午前10時から夕方ごろまでかかります。午前中は当たり障りのない質問で情報を集め、午後になると鋭い指摘がされるというケースが多々あります。

例えば、午前中に相続人が「故人は真面目な性格でお金がかかる趣味はありませんでした」と話していた場合、午後に調査官から「故人はお金がかかる趣味はなかったということですが、この日に通帳から引き出した200万円はどうされたのでしょうか?どなたかに贈与したのではないでしょうか?」と追及されてしまうことがあります。

調査官は世間話をしながら情報収集をしますので、余計な発言をしないように注意してください。調査官からどのような質問を受け、どのように回答すれば良いかについては税務調査対策マニュアルで解説しております。税務調査対策マニュアルは本ページ最下部にあるフォームから無料でダウンロードすることができますので、ご参考にしてください。

4.税務署が税務調査前に把握していること

税務署は税務調査前に相続人の財産情報をある程度把握しています。調査されていることを知らずに嘘をついてしまうと意図的に財産を隠しているとみなされ重加算税が課されてしまう場合がありますので、調査官の質問に対して正直に回答することをお勧めします。税務署が税務調査前に把握している情報は下記のとおりです。

税務調査前に把握している情報①不動産の情報

市区町村役場に死亡届を提出すると死亡情報が市区町村役場から税務署に通知されます。この時、故人の固定資産税の情報も市区町村役場から税務署に送られます。また、不動産の名義変更の情報についても法務局から取り寄せています。

税務調査前に把握している情報②金融資産の情報

税務署は相続人の了承を得ることなく銀行や証券会社に故人や相続人等の金融資産の情報について照会をかけることができます。預貯金や株式の残高だけではなく過去の履歴についても確認されてしまいますので、故人から贈与を受けていた場合は分かってしまうでしょう。

税務調査前に把握している情報③生命保険の情報

保険会社から税務署に支払報告書が提出されます。また、平成30年1月1日以降、契約者変更情報についても税務署に提出されるようになりました。なお、被保険者が故人、保険料負担者が故人である生命保険の保険金には相続税が課税されますが、被保険者が相続人、保険料負担者が故人である生命保険に対しても相続税が課税されますのでご注意ください。

税務調査前に把握している情報④収入に関する情報

所得税の確定申告書、給与の源泉徴収票、退職手当金等受給者別支払調書など、故人が過去に得ていた収入に関する情報を税務署は収集しています。また、故人が非上場企業のオーナーで自社株を所有していた場合は会社の法人税申告書の調査もおこなわれます。

5.相続税の税務調査で確認されること

相続税の税務調査でよく確認されるのは下記の内容です。

税務調査の確認事項①名義預金はないか

名義預金とは形式的には子供や孫の名前で預金をしているのですが、実質的には親や祖父母が管理している預金のことです。相続税対策のために親が子供の名前で銀行口座を作成し、お金を振り込むことで生前贈与をおこなおうとする方がいらっしゃるのですが、この場合、生前贈与は成立していないことになります。

名義預金は故人の財産とみなされ、相続税の課税対象となります。生前贈与をおこなうのであれば子供や孫が普段使っている口座にお金を振り込むようにしましょう。生前贈与を税務署に否認されないための注意点については「現金手渡し等の生前贈与を税務署に否認されないための注意点」をご覧ください。

税務調査の確認事項②親族間で預貯金が移動していないか

年間の贈与額が110万円を超えている場合は贈与税を支払う必要があります。また、死亡前3年以内に故人から贈与を受けていた場合、贈与がなかったものとして贈与額を相続財産に加算します。死亡前3年以内の贈与を加算する規定を生前贈与加算と言います。

税務署は亡くなる直前に通帳から引き出したお金と手元にある現金に隔たりがないか確認し、親族間で預貯金が移動していないか調査します。生前贈与加算について詳しく知りたい方は「生前贈与加算とは|相続人以外への贈与は3年以内でも対象外」をご覧ください。

税務調査の確認事項③故人が借金を肩代わりしていないか

親族の借金を故人が代わりに弁済していた場合、支払った借金の金額を贈与したとみなされます。借金を代わりに弁済した時期が死亡前3年以内であれば生前贈与加算に該当するので相続税が課税され、それより前であれば贈与税が課税されます。

贈与税の計算方法や生前贈与のメリット・デメリットについて詳しく知りたい方は「生前贈与の2つのメリットと4つのデメリット【相続税の節税対策】」をご覧ください。

6.相続税の税務調査の対応方法

相続税の税務調査では主に金融資産の調査がおこなわれます。税務署からの質問の受け答えの仕方によって追徴課税が発生するかしないか変わる場合がありますので、どのように受け答えをすれば良いか、事前に税理士に相談することをおすすめします。

なお、税務調査の通知が来る前に申告していない財産があることに気付いた場合は速やかに修正申告をしましょう。税務調査の通知が来る前に自ら進んで修正申告をした場合と税務調査で指摘を受けて修正申告をした場合では支払う金額が変わります。

仮に1,000万円の申告漏れがあった場合、自ら修正申告をおこなうと1,000万円に対しての相続税の納税だけで済みます。しかし、税務署に指摘されて修正申告をおこなった場合は、追加納付した金額の10%が過少申告加算税として追加で課税されてしまいます。

なお、追加納付金額が当初申告した相続税額を超えている場合、もしくは追加納付金額が50万円を超えている場合、超える部分に対して15%の過少申告加算税が課税されます。過少申告加算税・重加算税・延滞税など、相続税申告に関するペナルティについては「相続税の申告期限と時効|無申告加算税・延滞税・重加算税とは」をご覧ください。

質問応答記録書とは

質問応答記録書とは調査官と納税者の間のやり取りを記録した書面です。税務調査の際に質問応答記録書という書面に署名押印を求められることがあります。

しかし、質問応答記録書は法定書類ではなく行政指導として提出する書類です。署名押印しなければならない法的根拠はありません。質問応答記録書は納税者側にとって不利になることはあっても有利になることはないので、基本的には署名押印しない方が良いでしょう。

また、行政手続法第32条第2項に「行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取り扱いをしてはならない」という規定があります。質問応答記録書に署名押印しなかったとしても、そのことで不利になることはありません。

7.相続税の税務調査を受けるメリット

相続税申告書の内容を見直し、相続税の金額を下げられることがわかった場合、申告手続きが終わった後であっても相続税申告書の内容を修正することができます。多く払い過ぎていた相続税分については税務署から返金してもらうことが可能です。相続税申告書の内容を見直し、差額を返金してもらうことを相続税還付と言います。

ただし、還付請求をおこなうことで税務署が増額要素に気付き、追徴課税が発生してしまうリスクがあります。増額要素の方が大きい場合は相続税を追加で納めなければいけません。

しかし、税務調査を受けていれば相続税がこれ以上増額する心配がないので、リスクなく還付請求をおこなうことができます。税務調査が終わった方は相続税の還付請求ができないか確認することをお勧めします。なお、亡くなってから5年10ヵ月が経過してしまうと還付請求ができなくなってしまいますので、ご注意ください。

佐藤和基税理士事務所は相続税還付の実績が豊富です。相続税申告書の診断は無料で承っておりますので、相続税が戻ってくるか確認されたい方はお気軽にご相談ください。

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税務調査対策マニュアルとは、税務調査の際に追徴課税が発生しないようにするためのマニュアルです。どのような準備をおこなえば良いのか、調査官の質問にどのように回答すれば良いのか、税務調査に立ち会った時の経験を踏まえて解説しております。

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