遺言書の書き方・効力|有効な遺言書の作成方法【文例有】

亡くなった人の財産をめぐって家族が争うということは少なくありません。遺産相続に関する裁判は平成26年度には12,577件も発生しています。家族の間で相続トラブルが発生しないようにするにはどうすれば良いのでしょうか?

相続トラブルを防ぐ方法の一つとして「遺言書」を作成することをお勧めします。生前に遺言書を作成し、遺産の分け方について決めておくことで家族間の争いを未然に防ぐことができるでしょう。こちらのページでは遺言書の書き方についてご説明します。遺言書の文例や作成手続きなどについてもまとめていますのでご参考にしてください。

1.遺言書とは

遺言書とは死後に財産をどのように分けるのか示したものです。遺言書で財産の分け方について意思表示をしておくことで渡したい人に財産を譲ることができます。なお、故人が遺言書を作成していない場合は遺産の分け方について相続人全員で話し合って決めます。

誰が相続人になるかについては民法で定められており、民法で定められた相続人のことを「法定相続人」と言います。また、民法では各法定相続人の遺産取得分の目安についても定めています。各法定相続人の遺産取得分の目安のことを「法定相続分」と言います。

法定相続人や法定相続分について詳しく知りたい方は「法定相続人の範囲と相続順位|誰が遺産をいくら相続するのか解説」をご覧ください。

遺書と遺言書の違い

遺書と遺言書を同じものだと思われている方がいらっしゃいますが、遺書と遺言書は別物です。遺言書は遺産の分け方を示した法的な書類ですが、遺書は死ぬ間際に自分の気持ちを伝えるための手紙のことです。遺書に自分の財産の分け方について書いても法定効力はありません。ただし、遺書が遺言書としての要件を満たしている場合は法的効力が発生します。

民法での遺言書の定義

民法の第960条に「遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない」と定められています。つまり、遺言書は民法の規定に従って作成されなければ法的効力はないということを意味します。

民法では「遺言の方式」、「遺言の効力」、「遺言の失効」、「遺言の取消」など遺言に関する様々な規定が定められています。民法で定められた遺言の要件を満たさなければ法的効力はありませんので、遺言書を作成する前に遺言の要件を確認するようにしましょう。

2.遺言書の効力

遺言書の効力についてご説明します。遺言書にはできることとできないことがありますので、遺言書を作成する前に何ができて何ができないのか確認しましょう。

遺言書の効力①誰に何を渡すのか指定できる

遺言書で誰に何をどのくらい渡すのか指定することができます。なお、お世話になった人など、法定相続人ではない人に財産を譲ることも可能です。

遺言書の効力②相続する権利を剥奪できる

遺言書を作成する人が特定の相続人から虐待や侮辱などの被害を受けていた場合、その相続人から相続する権利を剥奪することが可能です。

遺言書の効力③隠し子を認知することができる

隠し子を遺言書で認知することができます。遺言書で認知された子供は被相続人の子供として認められるため、法定相続人として財産を相続することが可能です。

遺言書の効力④遺言執行者を指定できる

遺言書の内容を執行する人を指定することができます。遺言執行者を指定しておくことで相続手続きを速やかにおこなうことができるでしょう。

遺言書の効力⑤保険金の受取人を変更できる

保険金受取人を遺言書で変更することが可能です。受取人を変更した場合の相続税については「遺言書で生命保険の受取人を変更した場合の税金【保険法第44条】」をご覧ください。

3.遺留分とは

遺言書で誰にどの財産をどのくらい渡すのか決めることができますが、それが完全に実現できるとは限りません。一定の範囲の法定相続人には遺産を最低限取得できる権利が認められています。遺産を最低限取得できる権利のことを遺留分と言います。

例えば、妻の遺留分が遺産の2分の1であるにもかかわらず、遺言書に「遺産を全て愛人に渡す」と書いてあったとします。この場合、妻は愛人に対して「遺留分として遺産の2分の1をもらう権利があるので、遺産の2分の1を渡しなさい」と請求することが可能です。

このように遺留分が侵害された場合に他の相続人に不足分を請求することを「遺留分減殺請求」言います。遺留分や遺留分減殺請求について詳しく知りたい方は「相続の遺留分の割合|兄弟姉妹・孫・子供・親・配偶者が持つ権利」をご覧ください。

4.遺言書の書き方

遺言書には自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類があります。それぞれの作成の仕方についてご説明します。

自筆証書遺言の書き方

自筆証書遺言とは、遺言者が遺言書の全文・日付・氏名を自筆し、押印して作成する形式です。なお、平成31年の法改正によって、遺言書に添付する財産目録については自筆しなくても良いことになりました。自筆証書遺言は特別な手続きをする必要がないため、いつでもどこでも作成することができます。なお、遺言書を勝手に開封してはいけません。家庭裁判所に遺言書を提出し、検認をおこなう必要があります。

公正証書遺言の書き方

公正証書遺言とは、2人以上の証人の立会いのもと、公証人が遺言者から遺言内容を聴き取りながら作成する形式です。公正証書遺言を作成するには遺言者本人であることを証明するための実印と印鑑証明書を用意し、2人以上の証人と一緒に公証役場に行きます。そして、公証人に遺言の内容を伝え、遺言書を作成してもらいます。遺言者が亡くなったら最寄りの公証役場に行き、遺言書の内容を確認し、相続手続きをおこないます。

秘密証書遺言の書き方

秘密証書遺言とは、遺言者が作成した遺言を2人以上の証人と一緒に公証役場に持ち込み、遺言書の存在を保証してもらう形式です。秘密証書遺言は、署名と押印だけ遺言者がおこなえば、遺言書をパソコンで作成したり、代筆してもらったりしても問題ありません。遺言書は遺言者自身で保管します。秘密証書遺言も自筆証書遺言と同様、勝手に開封してはいけません。家庭裁判所で検認してもらう必要があります。

5.遺言書の文例

公正証書遺言の文例をご紹介します。遺言者は山田一郎、相続人は山田花子(妻)・山田一郎(長男)・山田二郎(二男)の3人、相続財産は現金・不動産・有価証券です。

公正証書遺言

遺言者山田太郎は、本遺言書で次のとおり遺言する。

第1条 遺言者は、遺言者の所有する下記の財産を、遺言者の妻である山田花子(昭和22年2月2日生)に相続させる。

(1)現金
(2)預貯金
  ○○銀行 ○○支店 普通預金 #1234567

第2条 遺言者は、遺言者の所有する下記の財産を、遺言者の二男である山田二郎(昭和44年4月4日生)に相続させる。

(1)家屋
 ①所在 中央区日本橋茅場町◯丁目◯番地◯
  家屋番号  ◯番◯
  種類    居宅
  構造    木造セメント瓦葺2階建
  床面積   1階 300.00㎡ 2階 200.00㎡

(2)預貯金
  ○○銀行 ○○支店 普通預金 #7654321

第3条 遺言者は、遺言者の所有する下記の不動産を、前記山田花子に495分の330及び同山田二郎に495分の165の割合でそれぞれ相続させる。

(1)土地
 ①所在 中央区日本橋茅場町◯丁目
  地番    ◯番◯
  地目    宅地
  地積    495.00㎡

第4条 遺言者は、遺言者の所有する下記の財産を、遺言者の長男である山田一郎(昭和43年3月3日生)に相続させる。

(1)預貯金
  ○○銀行 ○○支店 普通預金 #0000001

(2)有価証券
  山田商事株式会社 1,000株

第5条 遺言者は、第1条ないし第4条に記載の財産を除く遺言者の所有する全ての財産を山田花子に相続させる。

第6条 前記山田花子が遺言者よりも先に、又は遺言者と同時に死亡したときは、遺言者は、第1条により山田花子に相続させるとした財産全部を前記山田一郎及び前記山田二郎にそれぞれ2分の1の割合で相続させ、第3条により山田花子に相続させるとした不動産全部を前記山田二郎に相続させる。

第7条 前記山田一郎が遺言者よりも先に、又は遺言者と同時に死亡したときは、遺言者は、第4条により山田一郎に相続させるとした財産全部を前記山田二郎に相続させる。

第8条 前記山田二郎が遺言者よりも先に、又は遺言者と同時に死亡したときは、遺言者は、第2条及び第3条により山田二郎に相続させるとした財産全部を前記山田一郎に相続させる。

第9条

 1.前記山田二郎は、第2条の不動産に係る相続日現在の未納固定資産税が存在した場合の当該未納固定資産税を承継するものとする。

 2.前記山田花子及び山田二郎は、第3条の不動産に係る相続日現在の未納固定資産税が存在した場合の当該未納固定資産税を山田花子が495分の330及び山田二郎が495分の165の割合でそれぞれ承継するものとする。

第10条 遺言者が負担する債務のうち、第9条を除く一切の債務及び葬式費用については、山田花子が承継するものとする。

第11条

 1.前記山田花子が遺言者よりも先に、又は遺言者と同時に死亡したときは、遺言者は、第9条により山田花子が承継するものとした債務は、前記山田二郎が承継するものとする。

 2.前記山田二郎が遺言者よりも先に、又は遺言者と同時に死亡したときは、遺言者は、第9条により山田二郎が承継するものとした債務は、前記山田一郎が承継するものとする。

第12条 前記山田花子が遺言者よりも先に、又は遺言者と同時に死亡したときは、第10条により山田花子が承継するものとした債務は、前記山田一郎及び山田二郎が2分の1の割合でそれぞれ承継するものとする。

第13条 遺言者は、祖先及び遺言者の祭祀を主宰すべき者として、前記山田一郎を指定する。なお、山田一郎が遺言者よりも先に、又は遺言者と同時に死亡したときは、祖先及び遺言者の祭祀を主宰すべき者については、山田二郎とする。

第14条

 1.遺言者は、この遺言の遺言執行者として、山田一郎を指定する。なお、当該遺言執行者は、第三者に対してその権限を委任することができる。

 2.前記遺言執行者は、相続人の同意を要せず、不動産の登記手続き、預貯金債権の払戻し又は名義書換え、貸金庫の開扉、内容物の取り出し又は解約、その他本遺言執行のために必要な全ての行為を単独でする権限を有するものとする。

第15条 遺言者は、この遺言により各自が相続する財産及び債務にかかる名義変更等に要する手数料等の諸経費、遺言執行費用及び税務申告費用は、各自が負担するよう指示します。

(付言事項)

    平成  年  月  日

    遺言者の住所及び氏名

6.遺言書の書き方についての相談

遺言書の作成は弁護士・司法書士・行政書士・税理士など様々な専門家が取り扱っていますが、どの専門家に相談すれば良いのでしょうか?相続税が発生する見込みが高いのであれば税理士に相談することをお勧めします。税理士以外の専門家は税金の専門家ではないため、どのように分けたら相続税が安くなるのかといった視点が漏れてしまうおそれがあります。

佐藤和基税理士事務所では遺産をどのように分けたら、いくら相続税が課税されるのかシミュレーションを作成することが可能です。遺言書を作成する際はシミュレーション結果をご参考にしていただき、相続税ができるだけ課税されないように遺産を分けることをお勧めします。なお、遺言書の作成や手続きを当事務所にお任せいただくことも可能です。佐藤和基税理士事務所の相続税対策サービスの詳細については下記ページをご覧ください。

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